行くぜ 嵐の黄金道路を走破する たまには いいにでないかい
襟裳岬を走破してほっとしたら 次の日は雨模様 昨日風が強かったからな

 雨と風がひどくなる前に なんとか黄金道路を走り抜けないと 自転車での走行は危険な道なので 気合で 朝早く出発します 雨も小降り 風もまだありません 途中のどが乾くのでスポーツドリンクを買って 店先で飲んでいると 
お店の人が出てきて 自転車できたのかい でもあんまり若くないよね〜

ほんと遠慮なく言われて 話が弾み とうとうお店の中に上がりこんで わいわい始まっちゃって
ご主人 地元の少年団のリーダーで 天体観測もお手の物 話しも面白いんだよね
楽しかったね 独身なら嫁さんを紹介するなんて 嬉しい事を言ってくれて
だけど ここで油を売っていたのが チョットまずかったんだよね 楽しかったから いんだけどさ

チョット雨と風が出てきたので おいとますることに お店の人も これじゃあ通行止めになるかもなんて 怖い事を言ってくれちゃって でも こっちは行くしかないもんね
さあ出発です 途中黄金道路を走り抜けた大学生が 早くしないと通行止めになるよって教えてくれて ペダルに力が入ります 1時間のランでいよいよ黄金道路に入りました まだ通行止めではありません ラッキーです いくぞ〜

日高山脈が海岸線まで伸びている所を海岸線を這うように作った 片側一車線の道で 反対車線はすぐ海に面しています 最初は 海がすぐに見える海岸線を右手に見ながら バイクの人たちとも 挨拶をしながら走っていたのですが だんだん雨と風が強くなるにつれて 波が道路まで押し寄せてきます その頃には対抗する車もなく 追い抜くバイクの姿もありません

とうとう通行止めか 今この道路 走っているのは俺だけか

車線を少し中央へ持っていき タイヤに石や空き缶などが当たらぬようにします パンクとバランスを壊した落車は命取りです でもあまり海沿いに寄ると  押し寄せる波で 海にさらわれるし ドジルと即アウト

かと言って 落車を怖がり スピードを落とすと 大きな波が来たとき これも海中へのコース
とにかくスピードを落とさずに 右からの波と 左から 波が洗い流した土砂をよけて 進め進め
3分の2くらい走破した所で 前方に凄いのが現れました 

左の山から 大量の雨が流れ出て 滝のように道半分に落ちてきています 大雨のときはこうなるのでしょう
そして 右からは1メートルくらいの波 波と滝が中央でぶつかり すごい状態です

悪い事に その滝の水を海に流す為 道路もそこだけ低くして 海面より少し高いくらい 何故通行止めになるのか やっと分かりました さすがに 引き返えそうと思ったが 今まで来た道を思い浮かべて 帰れるかどうか

しばらく ジーット見ていると 波が来て海に引く 次のが来る 波が引いたその間は 滝だけだから 行けるな でも路面はどうなってるのか 泥かな 落車はヤバイ 自転車担いでは波とぶつかるし
そうとう 速く走らないと 波のリズムを取って チャンスは一度

波が来て滝とぶつかる 今だ 行くぞ〜

素早くギアーアップ 3段以上飛ばして上げると チェーンが外れる恐れがあるので ギアを2段飛ばしで 素早く3回
もう一回アップしたいけど 間に合わない もう目の前は滝 両手でハンドルを持ち 滝すれすれのライン取り 前輪を持ち上げるように 段差に突入 波が来る 最後のギアアップ 踏み込め 前輪が横に振れる 左に車体を倒し 踏み込む 波が後輪に当たり 振られる こらえろ 海に突っ込むぞ 踏み込め よっしゃ〜ゲット

なんとか出た もう一度はできないな こんな怖さは 久しぶりだよ
しばらく走ると 悪路の無理がたたり パンクしてしまいました マウンテンじゃないもんな 無理無いな

雨の中 1時間かけて直し 無事帯広到着 私の格好を見た 民宿の女将さんがびっくりしてた 腰まで泥だらけのびょぬれ それでも留めてくれたよ
  黄金道路を越えてきたと言ったら ビールをおごってくれた 今日のファイトに乾杯だ!    

5年前の8月 ホントのお話 おわり

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